MIU404#11最終話「目指すのはメロウなエンディング」(感電)

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こんにちは、つたちこです。
「MIU404」が、最終回を迎えました。
前回、目いっぱい広げた風呂敷をきれいにたたみつつ、これまでの話の「一個一個のスイッチ」やエピソードの断片を拾い集めるような、よい最終回だったと思います。

正直1回目見たときは「ん?」となった部分もあったのですが、再見したところ、なるほど、と納得しました。

 

以下ネタバレがはげしくあります。

 

「相棒」として認め合い、信頼しあった志摩と伊吹が、最終話でもう一度亀裂が走り、仲たがい。
ばらばらに動いた結果、大ピンチに発展。
その後、お互いを助け合い、九重君も参加してメロンパン号も復活してクズミも逮捕。大団円!
と、ものすごくざっくり書くとこんな筋でした。

私は「クズミも傀儡」で、さらにもっと親玉がいるのでは、と途中まで予想していたのですが、クズミが大ボスだった。
しかも目的のない大ボス。
ふらふらとまわりを地獄に落として、それを見て楽しんでいるだけで興味がない。
相手と対等でない、常に一段上から見ている。
だから行動を考えにくいんだろうな。

舞台が「2019年」なのを強調していたのは、「1年後にオリンピックのある世界」だったからだとわかりました。
過去話でいろんな問題を扱っていたMIU404、最終話でも「『復興』オリンピック」「オリンピック反対派」「高額チケットが買える金持ちのためのオリンピック」なのに「無償ボランティア募集」など、昨年までたくさん話題になっていたことが出てきました。

また、「10年もたてば忘れる」「神様の指一本で」「泥に流される」などの会話から、クズミはおそらく東日本大震災の被災者なのでは、と想像しますが、最後のクズミのセリフ「お前達の物語にはならない」は、こう予想することも拒否している気がします。
不幸な過去をしょってるから今の悪人クズミがあるんだよね? と勝手に結び付けて娯楽消費対象にすんな、ってことなのでしょう。

こういうブログを書いていることすら、「勝手に消費すんな」って感じなのかも。
「点と点を結び付けて、勝手に話を作ってる」私もRECと同じか。
観ているこちらが苦いエピソードです。

最終回は、いままでのエッセンスを凝縮

それぞれ1話単独でも楽しめるつくりだった「MIU404」。
一方、回を重ねるごとに少しずつ変わる志摩と伊吹の関係性、ハムちゃんとエトリ、そしてクズミと、縦軸が何本も走っていました。

最終回は、それらの縦軸を総括しつつ、これまでの話に出てきたエッセンスがいくつも現れたように感じました。
伏線回収っていうほどではないかもしれないけど
「あのことか?」
と思ってしまうような仕組みになっているように感じました。

それこそがバタフライエフェクトであり「一個一個がスイッチ」なのかもしれません。

 

以下、特に印象に残ったもの。

クルーザーで志摩と伊吹が見るドラッグによるバッドトリップは、過去の二人のつらい部分を集約しているように思いました。
「志摩を殺されて復讐でクズミを殺してしまう伊吹」は、ガマさんの「刑事だった自分を捨てても俺は許さない」そのものだ。

抵抗しないクズミを拳銃で撃つのは不当な使用。
ガマさんの復讐を否定していたのに、自分がやってしまった(悪夢の中でだけど)。

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志摩の悪夢は、自分を大事にしない部分かな。
4話の最後、拳銃を頭に突き付けられる志摩のイメージが、ここに重なりました。
あの頃は自分自身も相棒も信用していなかった志摩。
この悪夢では伊吹を起こす(助ける)ために自分が死んでもかまわない、ということだと思うから、伊吹を大事に思っているのだとは思うけど。

この「悪夢」シーンが、初回はよくわからなかったんですよね……。
「ここからちょっと変わりまーす」っていうわかりやすさがなくて「止まった時計」だけが悪夢を示していたのですね。

 

クズミ逮捕後の、クズミの表情の変化は美しかった。
あれはなんだろう。
ふわふわと殿上人のように周りを操っていたクズミ、やっと自分を捕まえて地上にたたせる人がいた、という驚きもあったりするんだろうか。

それに対する志摩のセリフ「生きて俺たちとここで苦しめ」は、「俺たち」が含まれているから、
志摩は相棒殺し(実際には違っても)の責任を抱えたまま、
伊吹はガマさんを止められなかったことを抱えたまま、
クズミは悪魔のようにいろんな人を地獄に引きずり込んだ罪を抱えたまま、
生きていけ、っていうことかな。

伊吹と志摩は、悪人を殺さず、清廉潔白でいる刑事をやめなかったしこれからも辞めないってことを示唆しているのかもな、とも思いました。

 

その他は細かいところですが
1話のカーチェイスをRECに偶然撮影されたのもスイッチの一つか?

4話の青池透子が勤めてた銀座のPCショップで扱ってたSIMカードは、クズミの手に渡っていたのかも?(そこまで直接じゃなくて、暴力団経由裏ルートで手に入れられるものがある、くらいなことかな)

メロンパン号のデマ鎮静化は、過去話に関わった人たちのおかげだった。
4機捜が、まじめに清廉潔白で一個一個を対応してきたことが、「実は弱い正義の味方」の大事な味方になってくれた。
全部を見てきた自分たち視聴者には「そうそうそうだよ!」という共感ポイントでした。

伊吹の超感覚シリーズは最終回も。
昼間に移動中の屋形船の室内(外より暗いから見づらいはず)にいるクズミを発見するって、なんなのその超視覚。

車庫にひっそりしていたメロンパン号が動き出すのは、一時バラバラになった404の二人が一緒に活動再開するのと同じタイミング。
最初はしかたなく組んでいたバディに、「車が壊れてほかにないから」乗ってたメロンパン号。
それがこのバディの愛車であり活動を象徴する車ってことか。

などが印象に残りました。
いっぱいありすぎ。

 

そのほかにもいろいろ。
はずせない、桔梗隊長の異動スピーチ。
この隊長だからみんなついてきたんだよなあ、と、真剣に耳を傾ける隊員たちをみて胸が熱くなりました。

そして、今回の解決のスイッチ押しまくりの九重君。
陣馬さんの看病に、ICPOの裏調査に、連絡役に、メロンパン号の運転に、異動後なのに活躍しまくりです。
志摩にしっかり意見するのも、最初のころにはなかった。
さらに警察庁に戻り、エリート街道をいく九重くん。
「制度を作る側」の意識を強めて働くさまが頼もしい。

 

あとは、クズミなのになんか抜けてんな、と思ったこと。

なんでクルーザー船の上で前後不覚になった二人をさっさと殺さないのかな。
室内にスマホを置きっぱなしにしておくのも油断しまくりではないですか。

……と思ったのだけど、クズミは基本的に「自分の手を直接汚さない」人なのだな。
エトリに爆弾をぶつけたけど、ドローンの遠隔操作だったし。
意識のない二人を海に落として魚のえさにはするけど、自分の手で殺しはしない。
「勝手に落ちた」とでもいい逃れできるようにするためかも?

屋形船で、頭を橋にあえてぶつけるのは、「警察に捕まるくらいならこのまま死ぬ」つもりだったのかなと。
だけど、簡単に死ねなかった。
しねないことがわかったから、せめて警察を窮地に陥れようと「プライベートジェット君」に訴えようとしたら、ドラッグお楽しみ中でそれどころじゃなかった。
抜けているようで、とてもかなしいシーン。

 

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最終回、面白かった。
面白かったのだけど、なんか気になるなあ、とずっと思っていたのだけど、書いててわかりました。
最終回は、全部が「押せ押せ」だった気がする。

それまでは「押しと引き」が絶妙な塩梅だったのだけど、最終回は「全部盛り」みたいな感じ。
情報量も多いし、桔梗さんも陣馬さんも九重君も見せたいところも多いし、でも志摩と伊吹とクズミは当然メインだし。

これでもか! というほどいろいろあって、おなか一杯になってしまったのかもしれない。
最終回、15分拡大じゃなくて1時間拡大くらいあったら、よかったのかも?(笑)

 

最後にリアルな2020を持ってきた「MIU404」。
企画はコロナ禍以前だったろうし、もしこのコロナ禍がなかったら(4月開始が延期していなければ、オリンピックがやっていたら)話はどうなっていたのか気になります。
マスクをした二人は見られなかっただろな。

コロナ禍も一つのスイッチか。
新隊長でも、4機捜が3月で廃止にならなくてよかったね!

 

これで、「MIU404」のある金曜日が終わってしまったかと思うと、非常にさみしい。
来週から何を楽しみにしていけばいいのか……。

 

そんな寂しい私に、ブルーレイディスクがもう予約開始していますよ……。

 

これまでのMIU404メモです。
個人的ナンバーワンは、やっぱり#4かな。

https://tsutachi.co/blog/2020/08/miu404-10/

https://tsutachi.co/blog/2020/08/miu404-9-2/

https://tsutachi.co/blog/2020/08/miu404-9/

https://tsutachi.co/blog/2020/08/miu404-8/

https://tsutachi.co/blog/2020/08/miu404-7/

https://tsutachi.co/blog/2020/07/miu404-4/

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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