読書メモ「ダンス・ダンス・ダンスール」

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こんにちは、つたちこです。
熱い漫画を読んでます(現在進行形)。
「ダンス・ダンス・ダンスール」、ジョージ朝倉先生の描く、男子バレエの物語です。

最新刊は20巻、4月12日に出たばかり。
また現在連載中の物語に手をだしてしまった……!

キャプチャ:ダンス・ダンス・ダンスール
ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール」 | ビッグコミックBROS.NET(ビッグコミックブロス)|小学館

ざっくりしたあらすじ

主人公は、中2男子、村尾潤平。
幼いころに見た男性バレエダンサーに感銘をうけたものの「男らしくあらねば」という思い込みと周りからの声で、バレエを踊りたい欲を押さえ、自己流で隠れて踊っていた潤平。
ある日クラスメイトのバレエ女子にその才能を見抜かれて、彼女の母が指導するバレエスタジオに連れていかれ、14歳にして本格的にバレエを踊り始める、というお話です。
(ものすごくざっくりした導入部分のあらすじ……)

バレエを主題にしたまんがは数多くありますが、「男子」バレエメインなのはあまり見たことがない気がします。
現在読み途中(8巻まで)なので、これ以降にも変わってくるかもしれませんが、今のところ個人的に刺さったポイントはこちら。

※以下、一部ネタバレがあります。

「天才」で終わらせない、素材がよくても練習を積まないとだめ

主人公潤平は、プロが一目で見て「素材がいい」身体を持っている。
小さな頭、長い手足、やわらかい身体、バレエ向きの脚の形。
努力ではどうにもできない「天性の恵まれたもの」をたくさん持っている潤平。
教師たちはもちろん、一緒に習う同期男子にも認められちゃう優秀な素質です。

だけど、素材や素質だけではバレエとして成り立たない、と断言され、基礎の基礎から叩き込まれる潤平。
早朝から深夜まで、家でも学校でも、ひたすらに努力して、バレエ人生のスタートの遅れを取り戻そうとします。
「バレエは、どんな振りも基礎の積み重ね」みたいな先生のセリフにもドキッとします。

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高く飛べればいいわけではない。
美しく華やかな舞台は、果てしなく地味な積み重ねがあるからこそなのだな。

まあでも、この辺はこれまでのバレエまんがにもありますよね。

お金の話をガンガンする

潤平はバレエスクールの集中講座を経て、いわゆる選抜クラスの奨学生(授業費免除)になるのですが、その奨学金を得るための条件がとても厳しい。
100%そのスクールの方針に従うこと、将来は運営しているバレエ団に入団すること、などなど。

なんとか奨学生になった後、潤平のやらかしによってその資格を失う危機が起こります。
授業料を払って継続するか、やめて出ていくか。

そこでスクールの理事長から
「年間100万ほどの授業料を免除する価値が、あなたにありますか?」
と、ものすごく現実的な数字つきで告げられるのです。

バレエ、お金かかるんだな……!!

そして「奨学生」にお金を出す側のメリットや期待、なぜお金を出すのか・なぜ育てるのかを語ります。

慈善事業じゃないんだから、ビジネスで考えると投資へのリターンを示すのは当たり前なのだけど、こういう「優秀な人に奨学金を」みたいなのって美談で終わりがち。
相手が中学生だろうと、トッププロになることを期待しての出資である以上、「奨学生でラッキー!」で終わらせないシビアさがとてもいい。
「奨学金」じゃなくて「先行投資」だよね。

バレエカンパニーの運営事情まで踏み込んでいく

お金の話にも通じるのですが。
舞台になっているのが、バレエ団が運営する付属バレエスクールなので、バレエ団の公演の話もあります。
また、プロのバレリーナたちと潤平が話す機会も出てきます。

どうしてこの公演をするのか、どうして選ばれるのか、選ばれた以上生まれる責任とは、など、単に「踊りがうまくなりたい」だけではない話が出てきます。

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ビジネス的な話がぽろぽろとあるので、社会人からすると潤平の衝動的な行動には肝が冷えることが多いです。
「それ、絶対ダメー!」と思いながら読んでます……。

中学生にそこまで求めるのはコクだと思うけど、ショービジネスに参加している以上は年齢関係ないってことですね。
厳しい世界。

周りの平凡な人たちの気持ちにもスポットを当てている

潤平は、本格的にバレエを始めるまでは普通に中学に通い、部活に参加し、放課後には友達と遊んでいました。

その友達のうちのひとり、兵ちゃん(いじめっ子)。

天然で明るく前向きで、割と器用に何でもこなす潤平に、憧れのような複雑な感情を持っています。
みんなの人気者の潤平の、特別な友達でありたい。
追いつきたいのに追いつけないし、そばにいたいのにいる場所ないし、真似てるつもりでも真似できてないし、でも認めたくないし。
凄い人のそばにいる、うすぐらいねじれた気持ちが真正面から描かれていて、ずしっときました。兵ちゃんもつらい。

あと、バレエを踊っている人たちにもいろんな人がいる。
舞台人としてメインで活躍するのはバレエ人口の頂点の頂点のごく一部。
そのピラミッドの階層ごとにいる人たちが、いろんな屈折した思いを持ちながら踊っていて、プロではあるもののそこに悩みは尽きない、とか。
(この人たちはすでに「平凡」ではないんですが、バレエ界では平凡になってしまうのだな)

どんどん読んじゃう、続きが気になる

ちょっと斜めからの話ばかりしましたが、ダンスシーンには迫力があるし、潤平の心の中のキラキラしたものが具現化しているイメージはドキドキします。
潤平が今後ますます成長していくにつれ、きっとダンス自体ではない別のリアルな問題が起こってくるのだろうな、とそちらにも期待してしまいます。

時期ははっきりしていませんが、つい先日、テレビアニメ化がきまったとのこと。
あのキラキラのダンスシーンをどう動かすんだろう? と楽しみです。

最新刊は20巻!

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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