映画メモ「累-かさね-」を観てきたんだけど、これは「劇場」で見るべき映画だ。

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こんにちは、つたちこです。
以前から観たい観たいと思っていた、映画「累-かさね-」をようやく見てきました。

ポスター、情報多すぎじゃないですか…(楽天通販サイトみたいだ)

私は原作ファンです。
3巻くらい発行されてるときに読み始め、それ以後は発売日には速攻で読む(kindleで)というのを繰り返し、先日14巻完結を見届けたところでした。

他でもよく見かけますが、映画化を聞いた時は、
「『累』をリアル映像化とか、やめたほうがいいんじゃないかなあ」
と思っていたのが正直なところ。

誰もが目を背けるような醜い顔(主人公の累)と美女の顔が入れ替わる、という設定もですが、入れ替わった後の「女優・累」は、だれもが認めざるを得ないような「天才女優」なのです。

天才女優!
いやー、それをリアル表現は難しいでしょう。

 

でも原作の松浦だるま先生のtwitterを見ていると、原作者自ら絶賛している。
公開のかなり前から、
「安心してほしい」
「見てほしい」
「すごいから」
といった発言を見ていました。

公開後には、怒涛のように感想リツイートが流れました。
もちろん、きちんとした発言を選んでリツイートされているのだと思いますが、どれも絶賛。

ただの「よかった!」じゃなくて、かなり詳細に解説付きで賛美されている意見も多く、非常に興味深い。

いわゆる漫画の実写化には、ほとんど興味がないのですが、これは見てみたい。

公開後しばらく経ってしまいましたが、無事に見ることができました。

 

感想。

予想以上に、面白かった。
そしてW主演の女優二人ともすごかったけども、特に土屋太鳳が圧倒的だった。

 

土屋太鳳と芳根京子といえば、朝ドラの主役二人。
「まれ」と「べっぴんさん」です。
どっちも見てました。

正直、作品としては、ほかの朝ドラ作品のほうが好きなものが多い。

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そして朝ドラ以降の二人の出演ドラマや映画などはほとんど見ていません。

 

で、映画「累」です。
見始めて最初は、ちょっと細かいところに気が行ってしまうのです。

原作との細かい違いとか。

最初のほうの累のキメ台詞「教えてあげる、劣等感ってやつを!」、そんなわかりやすいセリフなんて言わずに、無言でいいのにな、とか。

ですが、徐々に気にならなくなる。

 

一番意外かつすごい、となったのが土屋太鳳ですよ。
前述のように「朝ドラ女優」認識で、どっちかっていうと「正直でまっとうでまっすぐでいい子」役のイメージしかなかったので、いろいろ屈折したところのある「ニナ」の役柄自体がまず新鮮。

さらに話が進むにつれ、土屋太鳳の演じるものの数が半端ない。

  • ニナ(素)
  • 小さな舞台上の女優ニナ(演技ヘタ)
  • ニナの顔の累(素の累=芳根京子が演じる累をトレース)
  • うっかり舞台の練習に立つ女優ニナ(演技ヘタだが前よりマシ?)
  • 累が演じる舞台上の天才女優・ニナ①(チェーホフ「かもめ」ニーナ役)
  • 累が演じる舞台上の天才女優・ニナ②(オスカーワイルド「サロメ」サロメ役)

もっと細かくいうとニナ(素)にも、最初の上から目線のニナと後半のボロボロに追い詰められたニナ、とか、いろいろある。

これらをしっかり演じ分けるのもすごいんだけど、その「天才女優・ニナ」としての演技を堂々とやりきっているところがすごい。

土屋太鳳は、体育大学でダンスを専攻している(いた?)と聞いたことがありますが、あの人はテレビ・映画女優ではなく、舞台女優のほうがむしろあっているのでは。

華やかで、声が通って、体も動く。
これはすごい。

清楚な「かもめ」の役も、毒々しさを持った「サロメ」も、全然違う印象で演じてました。
(「かもめ」のニーナ役は、舞台本番の映像はちらりと出るだけで残念)

 

クライマックスは「サロメ」の舞台。
舞台の進行とともに、映画のクライマックスも同時進行するのですが、もう私は完全に「舞台『サロメ』を見る観客」目線でした。

舞台って、映像よりも演技が大きくなるではないですか。
なのでそれも含め「舞台を観ている私」になってた。

映画館で見たこともよかった。
クライマックスシーンで、それはすごく思った。

音響が、制作側の意図した通りに聞こえるのだと思う。
舞台を正面から観ている時はしっかり芯から聞こえて、舞台袖や通路から見ているシーンでは、音が右や左に偏って少しくぐもる。

「映画館の客席」にいるようで、舞台の客席にいるみたいだ、と思った。
イスが似てるところも、疑似体験ぽくてよかった。

だから、この映画は家でゴロゴロしながら見るんじゃなくて、映画館で見るのが本当にいいんだと思う。

 

土屋さんばっかりほめてますが、芳根さんもよかったのですよ。
特に後半の鬼気迫るところあたり。

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累の顔になったニナ(芳根さん)が、顔が変わったのに堂々としてるのはどうなの? とかは思いましたが、それは演出のせいなので……(態度が、「醜い顔による劣等感」にさいなまれてない……)。

芳根さんもすごい、だけど土屋さんに比べてしまうと……という感じでした。

 

そのほかの小ネタ。

映画本編のタイトルロゴが、原作のロゴだったところが嬉しかった。
私はあの原作のロゴの「明朝体ベースだけど、よくみるとゆがんでる」ロゴがとても好きだったのです。(マニアか)

左が原作、右が映画。でも映像内のロゴは原作とおなじだった!はず!

映画の公式サイトを見たときに、「ロゴ違う……」と気になっていたのでした。
でも映画館で見たとき、確か原作と同じだった! はず!
1回しか見てないから再確認してないですが……。
(表示された時に「あ!同じ!」と思った…んだけど勘違いだったらすみません……)

 

これから見る人にお伝えしたいこととしては、「公式サイト」や予告編、あんまり見ないほうがよいかも、ということです。

あの「女2人のどろどろ嫉妬劇!」みたいな煽り方はどうなんだろう。

もっと全然違う部分で面白いのになあ……。
わかりやすい煽りなのかもしれませんが、なんだかもったいない。

もう公開からしばらく経って、だいぶ上映回数も減ってきてます。
ですが、ぜひ、「劇場」で見るのをお勧めしたい。

あの土屋太鳳は、見る価値ありですよ。

「累」公式サイト

http://kasane-movie.jp/

 

他の方の感想ですが、この「累」考察モーメントが、素晴らしいです。

https://twitter.com/i/moments/1042182367836700672

 

「累」1巻が、いまならAmazon kindleで無料で読めるようです!
原作は、ニナだけでなく、もっといろいろキャラがでてきて設定も奥深いので、ぜひこちらも読んでほしいです!
とても面白いです。

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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