「ポーの一族展」作品数が半端ない…繊細で美しい原画を味わってきました

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こんにちは、つたちこです。
発表があってからずっと行きたかった福岡での「ポーの一族展」、行ってきました。

会期がスタートして福岡に緊急事態宣言発出(でも展示会は継続)。
宣言が終わるのをじりじりと願っていたのですが、どうやら会期中に宣言は終わらないっぽい。

ここで見なかったら、こんな機会は二度と訪れるのか!?
これは不要不急ではない、「要」である!(わたしにとって!)

感染にも、運転にも、十分注意しながら行ってきました。
行ってよかった!!

写真:久留米市美術館 ポーの一族展看板

バラに囲まれた久留米市美術館は「ポーの一族展」に最適では…

今回初めて久留米市に行きました。
福岡県って大きい。糸島から久留米までは高速を使っても1時間以上かかりました。

写真:久留米市美術館の入り口

公園の中に、美術館、ホール、資料館、カフェなどなどが点在している、とても素敵な場所でした。
美術館の前には、大きな噴水、バラ園。

写真:久留米市美術館 庭園
写真:久留米市美術館 バラ園


バラは盛りを過ぎてしまっていましたが、色とりどりのバラが咲いていました。
きっと満開時には非常に素敵だったことでしょう。
(本当は、ゴールデンウイーク明けくらいのバラ真っ盛りの時に来たかった……)
でも、ユリやらアジサイやら、いろいろにぎやかに咲いていてきれいでした。

展示の点数が半端なく、見ても見ても終わらない

「ポーの一族展」は、名作「ポーの一族」の原画を中心に、萩尾望都先生の初期作品から最近のものまで、かなりの点数が展示されていました。
(展示室内は撮影禁止なので、写真はありません)

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特に「ポーの一族」は発表順・ストーリーに沿って8割くらいの原画が展示していあるので、そのまま読んでほぼストーリーが理解できるレベル。
(夫は未読でしたが、だいたい理解した、と言っていました。うちにあるのをちゃんと全編読んでほしい……)

あまりの作品数に、途中休憩を挟まないと疲れてツライ。
幸いすべての展示室にだいたいソファがおかれているし、混雑もしていなかったので、休み休みじっくり見ることができました。

繊細な描写、生々しい原画

特に初期作品は、ペンの線の繊細さにくらくらしました。
ほそい。そしてち密。

当時の印刷物(雑誌)も一部展示されていたのですが、案の定印刷に出ていない線が多かったです。もったいない。

ポーの一族(70年代前半)ころの作品は、効果なども手書きがほとんど。
この時代によく見る点描での心理描写などは気が遠くなります。

あと、結構大胆なきりばり修正なども行われていて、意外な感じでした。
それ、紙を変えたほうがよくない!? ってくらい全部きりばりで直してあるページもありました。
カラー作品(表紙とか)でもばっさり切られていたりする。
この段差は印刷にでないんだ! と思わぬ秘密を知ってしまった感じ。

たっぷりの「ポーの一族」の後、デビュー当時の初期作品、そして80年代から最近の作品までが続きます。でもSF作品は展示が少なかったです。
私が萩尾作品で衝撃をものすごく受けたのが「残酷な神が支配する」(1992年~2001年)なんですが、カラー原画が6点くらいありました。
あれは本編はなかなか展示しにくいよなあ……。

カラーのジェルミとイアンが美しかったです。
この表紙とかあったんですが、全然色味が違う。

そして、最近(2010年代)の作品のカラー原画、ほんっとうに美しかったです。
ちょっと桁違いに美しい。
特に「王妃マルゴ」と「ユニコーン」。

髪の色がものすごく美しい。
背景の、不安にさせるような気持ちになる効果も。

あとこの絵だと分かりにくいのですが、人物の周りに、細い月のような円弧がシュッといくつも入っているのです。
これがラメが入ったインクで、通常の印刷ならラメなんて絶対出ないのに、このインクにしたのね、と原画でしかわからない本物の姿を見てしまった気持ちになりました。
嬉しい。

ドレスの模様!
そしてドレスと同じ柄が、背景にも入っているのです。
背景のグラデーションに入っている柄も、すべて手書きなのですよ。
印刷物だけ見ていたら、デザイン上で合成したのだと思っていました。違うのです。1枚絵でした。
じっと近くで見ると、ペンの揺れが見られました。

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本当にすごい!!
ため息しかでない。
(紫のインクは原画にはなかったと思います。デザイン上で合成じゃないかな…たしか…)

華やかで素敵なんですが、この二人のジャケットの色が印刷物の何倍も素敵でした。
ジャケットの柄ももちろんすべて手書き。美しい。

そして、アランの髪の色……!!
淡い金髪に複雑に色がのっていて「なんじゃこりゃー!」と叫びたかった……。
この繊細さ! 美しさ! たまらん!!

あと、一番最後に飾ってあった、このポーの一族展のために書き下ろされた作品も美しかった。
美術館のサイトに小さくのっているのですが、赤いバラをバックに、エドガー、アラン、メリーベルが立っている「バラのロンド」。
ウェブ上で事前に見ていた時の印象と全然違う。
透き通るような美しさ、繊細さでした。

若いころの作品は、大胆な色使いだったりで勢いを感じました(もちろんレース表現などに繊細なものも多いんですが)が、最近の作品はここまで手をかける!? ってくらいの細かさにくらくらきました。
70過ぎても現役でいらっしゃる、その作品も全く衰えないどころかさらに進化している、本当に素晴らしいな、とため息ばかりでてしまった。

展示会の後は、バラのケーキで余韻を味わう

圧倒的な作品数、いくらでも見ていられる作品たちに、気づけば2時間以上たっていました。
そして、途中足がつりそうになり、休憩も3度ほど。どんだけ自重に弱いんだ。

外に出て休憩。公園内のカフェでお茶しました。
展示会とのコラボで、「クリムソン・グローリー」のバラのタルトがあったので食べてみました。残念ながらバンパネラの気持ちにはならなかった。
紅いりんごのコンポートとカスタードクリームのタルトでした。おいしい。

写真:久留米市美術館そばのカフェでバラのケーキを食べる

行ってよかったなー!!
見にいかなかったらずっと後悔していたと思う。
(まあ、見たからこそ後悔するレベルだと分かったのですが)

美術館は基本しゃべらないし、すいてるから人との接触もほとんどないし、見ること自体は全然問題ない。
あとは移動中に事故とか起こさなければ大丈夫(これは帰宅まで気が抜けませんが)。

アナログ作品のまんが原画展、萩尾先生に限らず大好きなのですが「眼福」ってこういうことをいうんだな……としみじみ思いました。
紙に込められたパワーをおすそ分けしてもらった感。目の保養です。

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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