こんにちは、つたちこです。
12月に放映されたNHKのドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」を見ました。
面白かったしとても興味深かったです。
草彅くんはブギウギといい、ブラタモリといい、青天を衝けといい、NHKといい仕事しますね。
仕事と結婚に失敗した荒井尚人。家族や恋人に心を開けないでいるのだが、生活のため唯一の技能を活かして就職活動をはじめる。その技能とは“手話”。彼は耳が聞こえない両親をもつコーダ(Children of Deaf Adults)だったのだ。そして彼は手話通訳士として働くことに。
デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 – NHK
やがて仕事にも慣れ、新たな生活を送りはじめた尚人のもとに届いた依頼は法廷でのろう者の通訳。この仕事をきっかけに、尚人は自身が関わった過去のある事件と対峙することに。現在と過去、二つの事件の謎が複雑に絡みはじめる…
草彅剛さんが主演。コーダの役です。
コーダ(ろう者の両親に生まれた、耳が聞こえる子どものこと)という言葉は聞いたことがありましたが、きちんとは理解していませんでした。
手話通訳士という仕事も初めて知りました。
テレビのニュースや会見などで手話を目にする機会があります。
でもドラマの中で、銀行や役所に手話通訳士が付随して、彼らに言葉を通訳して伝えているのを見て、こういう仕事が日常的に必要なのだとはっとしました。
耳が聞こえない、という状況を考えれば当然ですが、気づいていなかったな。
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ストーリーはろう者やコーダが重要な役で登場する、ミステリでした。
短い時間(前後編)なのでどうしてもご都合主義的なところや関係者が狭いところに集まってしまうのは否めないですが、それを置いても上質なミステリだな、と思いました。
コーダ役である草薙君や橋本愛さんの手話も(私にはわからないなりに)とてもスムーズで丁寧で感情のこもった手話でした。
本当のろう者の人が見たらどうなんだろう。
それでもこんなに自然に手話ができるようになるって、すごい。
手話を覚えるのは外国語を覚えるのと同じようでしょうし、さらに身体表現なので感情も全部そこにのせないといけない。
あとからNHKの紹介ページをみたら、ドラマに登場する難聴者やろう者は、実際ろう者・難聴者が俳優として出演されているそうです。大人はもちろん、子役まで。
普段から俳優活動をしている人が選ばれたのかもしれませんが、その表現も圧倒されるようでした。
ドラマ自体、とても丁寧に作られている感じがしたのですが、配役からその丁寧さが始まっているのかもしれません。
このドラマは、全編に字幕が入っています。
手話だけで話すシーンは、字幕を読まないとわかりません。
なので、自然と真剣に画面を見入ってしまう。
手話と表情と字幕と、集中してみないと話がわからなくなるのです。
ドラマを見終わったあと、詰めていた息がはーっと出ました。
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あとから思ったのは、これ、ろう者の人たちはいつもこういう感覚なのかもしれない。
健常者が喋る言葉を、口元や表情を、あるいは手話を、じっと見て伝えられた言葉を読み取る。
こんな集中した状態でずっといるのかもしれない(もちろん慣れもあるでしょうけど)。
ドラマの終盤で、荒井(草彅さん)がろう者の兄と喧嘩するシーンがあります。
健常者の荒井がもっと家族に尽くすべきだったと攻める兄に、「自分は耳が聞こえるだけだ」と吐露するのです。
つらい。
コーダは家族のヒーローでも介護者でもなく、普通の家族の一員なのだ。
ただ、耳が聞こえるだけ。
もちろん障がいのあるなしで状況は大きく違うでしょうから、頼ってしまうのもわかるけど、頼られる側はだれにも頼れなくてきついです。
もちろん同じコーダという状況でも、人によってその思いは全然違うのでしょうけど、このセリフはドキッとしました。
このドラマは原作小説があるそうで、小説はシリーズ化しているそうです。
ドラマもシリーズ化してくれたらいいのにな。
再放送が2024年1月6日(土)<1/5(金)深夜>にあるそうです。未見の方はぜひ。