【読書メモ】「大奥」17巻。終わりに向かう徳川家で呪いから解放された感

こんにちは、つたちこです。
「大奥」17巻(よしながふみ著)が発売されました。

書影:大奥17巻

連載15年目。
未だに本で集めている数少ない漫画の一つです。

※以下、ネタばれをしつつ感想を書いています。

 

 

 

3代家光から始まった「大奥」。
最初のころは「男女逆転」が主にフォーカスされてましたが、時代が進んだ今ではそれが「当然の世界」なので、その中で生きる人たちが、何をどう考えていたのかが面白い。

17巻は14代家茂が主人公。
前巻で「公武合体」で降嫁してきた孝明天皇の妹・和宮(偽)と家茂の交流と、幕末に向かってじわじわと国全体の空気が変わってくる諸々がメイン。

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ですが! もちろん史実ベースではあるものの、「逆転」だけでない、新たな展開。

家茂(女性)と和宮(女性)が、心を通わし打ち解けた結果、夫婦という形でなく、「パートナー」として一生を過ごす(徳川と国を一緒に守る)ことを決めるのです。

写真:大奥17巻 帯
帯にはこう書かれています。

新しい時代に必要なものは ”血”ではない”真の絆”

女性同士で将軍家を支える新しい形。
女同士で子供が産めないなら、養子をもらえばいい。
血のつながりが絶対必要ではない。

家茂の考え方が、とても軽やかで素敵なのだ。
徳川家のことだけでなく、国を治めることも、「(徳川家が絶対君主ではなく)時勢が変わればふさわしいものが国を治めればいい」という考え方。

このころ、家茂は二十歳前後の設定のはず。
若くて、聡明で、美人で、愛嬌もある家茂。
このあとの活躍がめちゃくちゃ期待されます(が、史実上それがないのがわかっている悲しさ)。

 

家茂に信頼を寄せるようになった和宮も、「家茂が子供を産めないなら自分が産めばいい!」と自ら思いつく怒涛の展開。
ずっとプライドだけがめちゃくちゃ高くて徳川を見下してた、帝の妹である和宮が、そんなアイデアを出してくるとは!
徳川のため、というよりは家茂のためではあるけど、それだけ家茂との間の信頼関係が深いということなんでしょう。
家茂は、初めて和宮にきちんと向かい合ってくれた人なんだろうな……と和宮のこれまでの扱いや絶望感もぐっと共有したうえで。そして。

二人は、3代家光以降、ジェンダーや「家」制度に苦しめられてきた代々将軍たちの苦悩を、軽々と超えていってしまった。

まさかの、今までの家光からの呪いみたいなものから解放された感。
すごい展開でした。

 

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「大奥」は、家制度、血のつながり、「子供を残すこと」=家を守ること、そのために強いられる犠牲などで、男も女もつらいシーンが多く出てきて、幸せなシーンよりも、悲しみのほうが多いような気がします。
(架空の)江戸時代の話なのに、将軍家なんていう自分には全然縁もないような世界の話なのに、現代にもつながるつらい部分が多くて、それが読んでいてひきつけられる部分でもあります。

でもこの巻で、初めて「男女じゃなくていい」「夫婦じゃなくていい」「血じゃなくていい」と言い切った将軍が現れた。

平成末期から令和にかけて、LGBTの活動などが盛んになって、女性がいろんなしがらみから解放されるようになって、というのと、なんだかシンクロしているようです。
(もちろん、問題はまだまだあるのでしょうけども)
よしながふみ先生つながりで言うと、「きのう何食べた?」で「おねえキャラではない普通のゲイの生活」がテレビドラマ化するなんていうのも、一つの変化なのかもしれません。

今まで読んできたなかで、一番グッときた回でした。
家茂、すごいよ。

 

「大奥」は史実をもとにしたフィクションなので、この先の展開もなんとなくわかっているものの、そのわかっている事実を超えて、よしなが式「大奥」がどういう形で着地するのかが楽しみ過ぎます。
史実に基づくなら、次の15代将軍 徳川慶喜で『大奥』は終わるはず……。かなりクライマックスは近い。

次巻18巻は2020年初夏発行予定とのこと。
首を長くして待ちます。

 

裏表紙が、立体感のある刺繍があしらわれていて、とても華やかで素敵でした。
今までは黒背景に葵の紋がメインのシンプルな装丁ばかり。
葵の紋を覆い隠すかのような花の刺繍。
「徳川家」を凌駕する変化を表しているのかもしれません。

写真:大奥17巻裏表紙

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