セミナーレポ「!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-」で学ぶ、相手視点での伝え方

こんにちは、つたちこです。
2017年2月3日、セミナー「!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-」に行ってきました。

https://important.fun/2018/02/10/post-549/

今回の講師は、長谷川恭久さん。
かなり前からブログや様々な記事を拝見していて、いつも勉強になっている方です。

http://www.yasuhisa.com/could/

直接話が聞けて、しかもワークショップあり。
予告を見て「これは参加せねば!!」と受付開始を待っていたのですが、うっかり半日くらいオフラインでいた日に受付開始。
気が付けば残席数名、という人気ぶりでした。
慌てて申し込みました。間に合ってよかった……。

自己紹介(全員)からのスタート

!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-

まずは参加者約30名全員(!)の自己紹介からスタート、というビックリの展開。
代表して何人か、ではなく、参加者全員にマイクが回ってきました。

ひとによって、同じ「デザイナー」「ディレクター」でもやってることが違うので、肩書ではなく何をしているかを説明することと、今仕事関係で興味のあることを話す、という自己紹介でした。

今回、ワークショップがあると聞いていたので、グループ内での自己紹介はあると思っていましたが、まさかの全員の前での自己紹介。汗をかきました。

さすがに覚えきれませんが、参加者全員のプロフィールを、なんとなく把握。
東京から5名で参加されている(すごい!)とか、インハウスのデザイナーだったり、LP中心に作っているデザイナーだったり、新卒の若手デザイナーだったり。フリーランスや、個人で会社をやっていらっしゃる方も結構いました。

確かに同じ肩書でも、やっていることは結構違いますね。
興味のあることや、悩みごとも様々でした。
全員のバックグラウンドが知れるって、面白いです。

自己紹介の最中に、長谷川さんが熱心にメモを取っているなあ、と思っていたのですが、これが最後の質疑応答につながってました。
その場で悩み解決につなげてくださるの、すごいありがたいです。

「受託制作」マインドを変える 

全員の自己紹介が終わったところで、いよいよ長谷川さんのレクチャースタート。

本来、何かを作るときには、こんな感じの工程を経るべき。

1:調査 → 2:定義 → 3:模索 → 4:実装
それぞれが、
1:調査=拡散(客観的事実の確認、インタビューなど)
2:定義=集約(定義したものを成果物に)
3:模索=拡散(プロトタイプなど)
4:実装=集約(最終的成果物に)
という役割を持ちます。

!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-

拡散と集約のイメージ。

 

広告代理店などが挟まると、制作会社は最後の「4:実装」しかやらせてもらえないことも多いので、「そもそもなぜ」とか「どういう検討結果がこの実装なのか」などが共有されないまま、作ることになってしまう。
ふわふわしたままやってきたものに対しても、なんとか帳尻を合わせることを要求されるなどしわ寄せを背負うことも多い。
※1~3を適当にしてしまう場合も多い

これじゃいかん、と。

今どきのデザインは「作ること」より重視されるべきことが多い。

  • 制作よりも設計・コンセプトが大事。「そもそもなぜ」「なんのために」がないと、ガワだけきれいに作っても意味がない。
  • 作ることに時間をかけすぎない。作ってからのほうが大事
  • 模索を繰り返しながら進めるべき。改善して成果を出してこそ

欧米レベルの「話せるデザイナー」になるために

そもそも、デザイナーが「『4:実装』にしか関われない」という状況こそがおかしなこと。
欧米と日本では「広告代理店」の役割が違い、欧米は代理店案件であっても、デザイナーがクライアントと話せない、という状況はないそうです。

逆に言うと、今、「実装しか関わっていないデザイナー」は、言われたことを言われた通りに作る、制作職人みたいになってしまいがち。
でもそれでは、絶対に近い将来、AIにとってかわられてしまう。

参考:「Brandmark」

http://brandmark.io/

AIで簡単にロゴが作れちゃうウェブアプリ。
もちろんクオリティが人間デザイナーと同じではないし、デザイナーから見たらツッコミどころも多い。
でも一般の人から見たら「バリエーション&サンプルたくさん」で「十分使える」。
つまり手を動かすだけのデザイナーはいらない、という判断に。

 

そもそもデザイナーの役割として、欧米ではこんな風に考えられているそうです。

!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-

「A designer is responsible for the work they put into the world.
世に出す成果物に対してデザイナーは責任を持つべき」

いわれるがまま作るのではなく、「『どうしてこれがいいのか、わるいのか』『最適な手段の提案』『重要性』『メリット』といったことを、クライアントに直接、自ら話しをすること」が、デザイナーの役割。

先ほど「制作職人」と書きましたが「(職人気質で)いいものを作れば、自然と認められる」というのは、絶対なくて。
やっぱり相手に「いいものであること」「よさ」を伝えられないとだめ、とのことでした。

 

私の前職の会社でも、私が入りたてのころは人数が少なかったこともあり、メインデザイナーが必ずクライアント先に同行して一緒に話を聞くし、デザインの説明も自らやっていました。

でも、人数が増えると同時に、効率化という名のもとにディレクターがクライアントとの打ち合わせをすべて行い、デザインの説明もしてしまう、ということが結構ありました。
クライアントからのフィードバックも、ディレクター通してデザイナーに渡したり。
結果、デザイナーが話をする、という機会が失われていったように思います。

ディレクターの数が増えたことで分業化が進んだこと、(時間がないから)デザイン仕事に集中できたほうがよかろう、という判断だったと思いますが、自分たちで自分の首を絞めていることにつながっていたのでは……と冷や汗が出ました。

 

さらに関連した余談的に思ったこと。
「伝える」ということは、クライアントとのコミュニケーションもそうですが、たとえば社内評価なども同じだなあ、と。
自己アピールが苦手な人はいます(私もです)が、自分で自分のことを上司に伝えないと、他人にはわかってもらえないものです。
(そんなに周りで熱心に自分を見てくれる人はいないというか)

「批評」と「批判」は文字面似てるけど全然違うもの

では、デザイナーがクライアントと話をするために何が必要か。
それが「批評」です。

批評というと「クライアント側がいうもの」と思ってしまいそうですが、ここでは「クライアントの意図をデザイナーが引き出すもの」という意図です。

 

なぜなら「クライアントはデザインのプロじゃない」から。
デザインを表す言葉の数も少ないし、伝え方もよくわからない。

 

批評と似た言葉で「批判」というのがあるけど、これは人格否定の言葉のこと。
「これはない」「かっこわるい」「なんかちがう」とか……。
これでは、何を改善したらいいのかわかりません。

でもデザインを表す言葉が少ないと、こういう言葉が出てきたりしがちです。

 

だから、デザイナー側が「クライアントの意図を引き出す」「意図を共有する」ことを意識して、課題解決のための会話=「批評」をしてもらうように仕向けなければいけないのです。
感覚的な表現だけにせず、言語化することが大事。

「これじゃだめだからボタンを赤くして」→「わかりました」で考えることを止めない。
「なぜボタンを赤くする必要があるのか」を知れば、赤くしなくても別の解決方法を提案できるかもしれません。

 

「批評」にはフレームワークがあるそうです。

  • そもそもの全体のゴール
  • 問題点の具体的な要素がどれか
  • ゴールに沿っていない課題の定義
  • なぜそう思うのか

共有しようとする課題を明確にしたうえで、考えを共有するのが大事。

デザイナー側ができることは、相手の「批評」を引き出すために、「何を」確認してほしいかによって、成果物を変えること。
コンセプトを確認したいのか、構成を確認したいのか、ビジュアルを確認したいのか。
そして「ここを確認したいです」と明確に伝えること。

デザインに限らず、相手との誤解を避けるために、明確な言語化は本当に大事。

「伝える」ためのワークショップ

ここからワークショップに入っていきます。
ワークショップは、5、6人で一組。
信頼を得るために「伝える」方法を学びます。

 

課題の設定は、こちら(すべて仮名です、念のため)。

あなたは、ジパング株式会社から直で案件を受ける制作会社の方。内制できる体制が整っているジパング株式会社、あなたの会社は外部アドバイザーと制作のヘルプとしてかかわることがあります。

そのジパング株式会社で決裁権を持ち、立場の違う二人、花岡さんと井原さんのどちらかに、「スタイルガイドの作成」か「アプリのユーザー調査」のどちらかを提案する、というのがお題です。

 

提案する相手を決め、マインドセットを考える

まず、基本設定の情報から、花岡さんと伊原さんどちらに提案するかを決めます。
模造紙に、その提案相手の人物像と、その人自身、および仕事での「圧力」「見返り」「優先順位」を考えて書き込んでいきます。

!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-

相手のことをとことん考えて言葉にして視覚化するのだ。

 

私たちのチームの提案相手は「CMO井原さん(PR・ブランド戦略担当)」に決定。
チーム内でいろいろ意見を出して肉付けし、「マインドセット」を作って「井原さん」の情報を言葉にして視覚化。
資料に書いてあること以外に関しては、どんどん想像(妄想?)して膨らませて、模造紙に書き込んでいきます。

提案企画を決め、提案の仕方を考える

提案相手が決まれば、今度はその人にどちらの企画をプレゼンするかを決めます。
「スタイルガイドの作成」か「アプリのユーザー調査」か。

どっちもあり、ということで意見が割れましたが、今回は「スタイルガイドの作成」の提案に決定。

自分たちで検討した「井原さんのマインドセット」をもとに、「井原さん」が重要視していることは何か、そこに響く言葉、アプローチ方法、そして解決できることやメリットを考えていきます。

 

これも、なんとなくフワフワした感じはあるものの、きちんと言語化する、全員が同じ理解になる、というのが結構難しい。
うまく言えないものです。

結局休み時間やほかの班の発表の合間までわたわたと話をして、ようやく中身と発表者を決定、ぎりぎりセーフで発表。
私は今回テーブルで見守り役でした、発表者の方、ありがとうございました!

!important #07 -伝えるデザイン、伝わるデザイン-

発表を見守る係……

 

しかし、同じ材料でスタートしているのに、6チームそれぞれが、全然別ものになるのが面白い!
いろんな人で構成するワークショップの醍醐味ですね。

今回の私のチームメンバーは、制作会社デザイナー、個人で提案からデザインまでのフルセット、アートディレクター、事業会社デザイナー、SE、ディレクターといったメンツ。

長谷川さんがおっしゃっていた「様々な視点での意見を聞くことに意味がある」というのがよくわかります。
自分では思いつかなかった意見を聞くと、それがあったか、とか、その角度ですか! とか驚きがあります。
3人よれば文殊の知恵といいますが……6人も集まればいろんなアイデアが集まるものです。

うまく言葉が出なくて全員の動きが止まったりすると、いいタイミングで長谷川さんが覗きに来てくれ、アドバイスをくれるのも有り難かったです。

 

しかし、こういう外部のセミナーやワークショップでいつも感じるのは、基本的に「自主的に学びたい人」が集まっているので、みんな積極的なことがほとんど。
ほかの人の熱を見て、私も積極的にやろう! と改めて思います。
なんというか、やりがいもあるし、とても楽しい。

「説明」より「伝える」の根底にある大事なもの

今回のワークショップの大事な点は、「相手の視点を理解する」こと。
目的に合った会話をして、きちんと相手に伝わる言葉(言語化)にすること。

なんのために言語化するかというと、相手に理解してもらい、そして相手の信頼を得るため。
何気なく話さず、もう一歩深堀りして、どう話せば相手にきちんと伝わるか、を考えること。

 

相手に自分の考えをきちんと伝えて理解してもらう。
相手の言いたいことをきちんと理解する。
それが積み重なることで、信頼を得ることができる。

……なんか、当たり前のコミュニケーションのようですが、それがなかなかうまくできない、ということですよね。

 

長谷川さんがポイントとしてあげていた

  • 自分視点になっている認識をする(自分の視点と、相手の視点は違う)
  • 「当たり前」の危うさを知る(自分の当たり前は、相手の当たり前じゃない)
  • 精神論では不十分(ふわっとしてない、ロジカルな言葉を使う)

という点を気を付けて、「伝える」会話をしていきたいと思いました。

まとめ

この「伝える」やり方ですが、こうしてレクチャーを受けてもワークショップをしても、そのままモノにはできません。

「やっぱり練習が必要で、繰り返しやってみること」と長谷川さん。
小さなことでも「伝える」を実践して、コツコツ繰り返して上達を目指すしかないようです。

 

今回「伝えるデザイン、伝わるデザイン」というタイトルだったので、「デザイナー向けかな?」と思いましたし、レクチャー中にも「話せるデザイナーに!」という話も出てきました。
でも、内容的にはデザインに限らず、すべての職種に通じる内容でした。

仕事は一人でできないことがほとんど。
クライアントであろうと、仕事仲間であろうと、きちんと「伝わる」話し方をすることで、コミュニケーション、そして仕事の回し方が円満になるの、かなり大事です。

さらに、仕事以外でも自分の考えや根本(コンセプト)を伝えるのって、大事ですよね……。
いろいろ応用ができそうです。

 

以前受けたセミナーの「!important #おかわり -Think more!-」の話(プレゼン思考、松尾教授のマジカルマーケティングツアー)にもリンクしているなあ、とも感じました。

相手の立場に立って目的をもって伝える。
相手の悩みを聞いて親身に寄り添って伝える。
切り口はそれぞれ違いますが、なんというか根っこの考え方は似ているというか……。

 

長谷川さん、とても勉強になりました。
直接お話を聞けたのも、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。

!important運営のみなさん、今回も機会を作って下さって、どうもありがとうございました。
次の回も楽しみにしています。

約5時間のレクチャー、ワークショップと質疑応答、本当にあっという間でした。
帰り道、なんか頭がショートした感じがしました……。
気持ちいい疲労感。

追記:みなさんの記録

togetterまとめ

会場の盛り上がりが伝わって臨場感あふれます。自分メモに書き漏らしたキーワードなどが書かれていてありがたいです。

https://togetter.com/li/1196024

ブログレポート(随時追加させていただく予定です)

みなさん視点のレポート、勉強になります。

http://www.sockid-design.com/seminar_important07/

https://blog.gti.jp/post-10382/

https://neozest.jp/archives/461

https://neozest.jp/archives/491

http://miki-holy.hatenadiary.com/entry/2018/02/08/183334

https://kozasa.goat.me/8CwiKcex

http://www.t-masateru.com/entry-234.html

http://horaotoko.com/blog/?p=171

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