ドラマメモ「燕は戻ってこない」

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こんにちは、つたちこです。
終了からしばらく経ってしまいましたが、ようやくNHKドラマ10「燕は戻ってこない」を全部見終わりました。

キャプチャ:NHKドラマ10 燕は戻ってこない 公式サイト
燕は戻ってこない – NHK

吉川英治文学賞・毎日芸術賞をW受賞した桐野夏生作品をドラマ化。連続テレビ小説「らんまん」の長田育恵が脚本、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のEvan Callが音楽を担当。

派遣社員として暮らすリキ(石橋静河)は悩んでいる。職場の同僚から「卵子提供」をして金を稼ごうと誘われたのだ。生殖医療エージェント「プランテ」で面談を受けるリキ。そこで持ち掛けられたのは「卵子提供」ではなく「代理出産」だった。元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)とその妻、悠子(内田有紀)が、高額の謝礼と引き換えに二人の子を産んでくれる「代理母」を探していた―。

燕は戻ってこない – NHKより

原作、桐野夏生!
最近読んでませんが、以前は結構読んでいた作家さんです。
ハードボイルドなミステリが多い印象です。

そして題材は代理出産。貧困ビジネス。貧富格差。さらにヘビーな匂いがぷんぷんします。

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で、全10話を見終わったのですが。
面白かったです、が、きつかった。

話もヘビーですが展開が想像を超えていき、興味深いという意味で面白いのです。続きが気になって最後まで突っ走りました。
でも、なんていうか、メインの登場人物の誰にも共感し辛い。

主人公の理紀が貧困から抜け出すために「代理母」というまさに体を使ったビジネスを選ぶのは、一攫千金狙いでそういう手もあるのか……と思いましたが、その後の行動には共感しにくい。
拘束の厳しいムカつくクライアントが腹立たしいのはわかるけども。
ビジネスだと割り切るのなら、仕事、ちゃんとやれ。(いやでもそこは人間だもの、割り切れないのだ、というのもわからんでもないが)

代理出産を依頼する側の基の能天気さと勝手さにもイラッとします。(稲垣吾郎がまたそのイラッとさせる演技がうまい。演技ヘタなのかな? とも思ったけどそれがまたむかつき度がアップしてるので、計算してあのちょっとイラッとする感じをだしてるならすごいと思う)

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基の妻、悠子は最初はいい人だし常識人ぽいし、つらい気持ちも共感できる気がしたのですが、生まれた双子を見た途端にそんなに豹変する? ってなりました。
自分が産んだ(あるいは卵子提供した)子供ならまだわかるけど、完全に「人の子」なわけで、それでもそんなに変わるものなんだろうか。
ずっとほしかったものが目の前に現れたから、そうなってしまうのかしら。私自身に実感がないから共感できないのだろうか。

双子を産んだ理紀の、最後の選択はなるほど、と。
当初の契約に「2人」とは書いてないもんね。契約違反ではない、たぶん。

でも、赤ちゃんを連れて無計画に逃走する理紀。
また近い将来に貧困に戻ってしまうのでは……と、ラストシーンにも晴れ晴れした気持ちになれなくて、ちょっと暗い気持ちで見終わりました。
幸せになってほしいけど、それまでのドラマの中ですら、厳しい現実をこれでもかと描いていたので、そんなうまくいくのかな……と思っちゃう。

あのまま、りりこの秘書として仕事をしながらあの屋敷に住み続けられたら、刺激は少なくとも安定した平和な生活が送れそうなのになあ。(それとも、子供がいなくなったら雇ってもらえなくなるのかなあ)
それをすべて捨てても、自分の子供が手放せなくなったということなのでしょう。

毎回そうだったのですが、最終回ももやもやした気持ちのまま終わってしまいました。でもこのすっきりしない感じこそが桐野夏生な気もする。

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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