こんにちは、つたちこです。
「本のエンドロール」を読み終わりました。
本の奥付に載っている会社名の後ろには、悩みながらも自分の仕事に誇りを持ち、本を造る「人」たちがいる。豊澄印刷の営業・浦本も、日々トラブルに見舞われながら「印刷会社はメーカーだ」という矜持を持ち、本造りに携わる一人。本を愛する人たちの熱い支持を集めた物語が、特別掌編を加え、待望の文庫化!
安藤祐介「本のエンドロール」特設サイト|講談社文庫
これはぜひ電子書籍じゃなく、リアル本で読みたい本でした。単行本ではなく文庫版ですが!
舞台は印刷会社。
営業担当と、印刷担当の2名がメインの登場人物です。そろそろ中堅どころ的な年齢。
5章立てになっているのですが、それぞれが別の本を作り上げる話になってます。
その中で、メインの2名の心の動きや考え方の変化、仕事での成長などが感じられる物語。
こういうお仕事もの、好きです。
<スポンサーリンク>
以前読んだ印刷会社が舞台のまんが「刷ったもんだ!」ともちょっと似た傾向です。
だけど「本のエンドロール」のほうが、よりリアルでシビアな印刷業界の現状を語っているかな。
電子書籍の台頭で印刷機が1台減り、当然それを動かす人の減少にも話が及びます。
一方で、最新の機械だけでは再現できない、職人技がやはり大事なのだとも。
作家や編集者やデザイナーのこだわりと、それをどう実現するか、理想と予算とスケジュールと技術のせめぎあい。
散々振り回されたり苦労したり。でも針の目を通すような絶妙な解決策が出る瞬間には、こちらまで嬉しくなってしまう。
やっぱりものづくりは熱いな。
私が手にしているこの文庫本も、色んな人の手を経て私の手元にあるのだと思うと、1冊の本への愛おしさが増します。
これは、電子書籍では味わえない感覚ですね。
<スポンサーリンク>
とはいえ、本が家のスペースを取るのも確か。
最近では電子書籍で買うことも増えました。特にマンガは、昔から本を買っているもの以外は電書がほとんど。読みたいときにすぐに手に入るのは本当に便利でありがたい。
一方で、電書は「データ」を貸与されているだけ(Amazon Kindleの場合ですが)なので、なにかあればみられなくなってしまうのよね。アカウントが凍結されて自身の買った電書がすべて見られなくなってしまった、という話も聞いたことがあります。
だから、本当に大事な書籍は、本という「もの」で持っておくべきとも思ってます。
なので、印刷会社さん、そして本を作り上げる職人さんたちがいなくなってしまったら、それは本当に困るのだ。この本を読むと、作り上げて手元に届けてくれることへのリスペクトが高まります。
この本の巻末には、「本のエンドロール」のエンドロールがあります。取材先への謝辞も熱い。
すべての本に、こんなふうに関わったスタッフ一覧がついていたら、働く人たちのモチベーショにも繋がりそうだなあ。
「本」というメディアが好きな人にはぜひ。印刷工程にも詳しくなれます。笑