読書メモ「パレス・メイヂ」地に足の着いた、最高のジャパニーズファンタジー!

※本ブログの一部のページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

こんにちは、つたちこです。
素晴らしく面白くて読後感の良い少女漫画を読みました!
「パレス・メイヂ」です。

タイトルを聞いたことがあったものの、読んだことがありませんでした。

 

タイトルを聞いたことがあったのはたぶん「このマンガがすごい!」にランクインしていたからかもしれません。
2014年オンナ編6位だそうです。

別冊花とゆめで連載した作品で、全7巻(+番外編2巻)で完結済み。
完結済み作品は、途中で待つ必要なくていいですね……!

 

あらすじはこちら。

明治時代に似た近代国家が舞台。
御園子爵家の次男・公頼は、無理矢理結婚させられそうになっている姉・静子を助けるために、侍従職出仕(見習い)として宮中で働くことになる。
先代の帝・明慈帝が作られた壮麗なる宮殿「パレス・メイヂ」に君臨する当代の帝は、明慈帝の第一皇女・彰子女帝であった。
宮中勤めにはりきる公頼だったが、初日から帝の直筆による絵皿や画帖が破損するという事件が起こる。

引用:パレス・メイヂ – Wikipedia

近代日本を舞台にしているようで架空の世界。ファンタジーです。
かなり綿密に取材されているようで、宮中のしきたりや行事、装飾物、室内、服装などなどが、リアリティがあります。

なにより、絵がきれいなのです。
やたら濃くなくて、あくの少ないシンプルな絵柄ですが、それが「ジャパニーズファンタジー」らしさを醸し出してます。
主人公の一人、彰子女帝は一重で切れ長の目をしていて、まつ毛もほとんど書かれていません。
アジアンビューティです。

<スポンサーリンク>

 

以下、若干のネタバレがあります。

 

ストーリーは、上記の架空の国の宮中を舞台にした、ラブストーリーです。
女性の帝である彰子(あきこ)さまと、その侍従職出仕の御園(みその)の二人が主人公。
御園が14歳で宮中に出仕するところから始まり、最後はたぶん30代くらいまでの人生を追うストーリー。

「ラブストーリー」と自分で書いておいてなんですが!!
普通の身分じゃないからこその、二人の立ち位置、接し方がとてもよい。
あくまで「主従関係」がベースなのです。

身分違いの恋、とひとことで言ってしまうと簡単ですが、そこに気づくまでの長い道のり、小さな出来事の積み重ねを丁寧に描いていて、相手を思いやる気持ちに至るのが自然に感じます。

よくありがちなのが、恋愛に発展したとたんに急に距離が狭くなって、べたべたしちゃうとかありますよね?
でも「パレス・メイヂ」ではそんなのほとんどなくて、きちんと主従の距離感がある中で相手を思いやる言葉や態度がにじみ出ている。そこが本当にすき。
ものすごく上質な感じがします。「品がある」ってこういう感じか? と思う。

そういう押さえた表現が続いているからこそ、ここぞという時のクライマックスの抱擁シーンにぎゅんぎゅんさせられてしまうのでしょう。

 

強力な恋敵が現れたり、トラブルに見舞われたり、災害が起こったり。
かなり波乱万丈です。
シリアスなシーンと、肩の力が抜けるシーンのバランスもよいです。

そしてなにより、彰子さまがかっこいい!!
基本軍服に身を包み、国と人民のためになにができるか、政治が滞りなくできるか、を、一番大事に考えている。
帝として人の上に立つ自覚を持っていて、そのための強い心を持っていて、だからこそ悲しい選択も自らしちゃう。

女帝は、戴冠中も退位した後も、結婚や出産が許されない、というのがこの世界のルール。
(帝位継承問題を起こさせないためのようです)
だから法律的なところでは、どうしたって(誰が相手でも)結ばれないのです。
「古いルールは変えればいい」という人も現れますが、そうはしなかった。
だけど、二人なりの新しい世界を築いていく。

<スポンサーリンク>

 

物語の最後に、冒頭から続く「御園のモノローグ」の存在理由が判明します。
そのオチが最高によくて、「なるほど! やられたー!!!」ってなりました。
なんて綺麗な伏線回収。
読んでて、ぞわぞわっと来ましたよ。

最初から、このオチ考えていたんでしょうか!?
最高の物語の終わりでした。
(当初、読み切りから4話で終了する予定だったとも知りましたので、後付けなのかなー)

 

そのほか、端役までキャラがしっかり立っていて、一見いじわるだったり、あたりが厳しかったりするときもありますが、どの人たちもみんないい人たちです。
帝がそういう人だからでしょうか。

実際、そんないい人ばっかりじゃなかろうとも思いますが、『やさしい世界』という感じ。
だからだと思いますが、読んでて嫌な気持ちになることがほとんどないのですよ。
ドキドキしたりはしますが、安心して読み進められる。

西洋のきらきら王宮ものとは違う、日本的文化をもとにした素晴らしくよくできたファンタジーでした。

久しぶりに、少女漫画らしい素晴らしい世界観を堪能できました。
自分基準だと、傑作といっていいのではなかろうか。
読み進めるのが楽しくて仕方なかったです。

後日談の続編が2冊出ていてそれはまだ未読なので、これからの楽しみにしようと思います。

 

同じ作者の方と思えない作風のエッセイコミックです。こっちも気になる。
(たぶん面白いに違いない)

  • ブックマーク

この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
ブログ「tsutachi.co」は毎日更新中です。