こんにちは、つたちこです。
2018年4月20日に開催された「Web制作におけるUXの実践~設計から解析まで」のセミナーに行ってきましたので、レポートします。
講師は、いつもブログやSNSで日々参考になることばかりを発信をされている、枌谷力さん(株式会社ベイジ 代表取締役)。
……と書いたものの、正直どのようにレポートすべきか悩んで2日経ってしまいました。
あまりに膨大な情報量。
全部の内容をここに書くことは、まず無理です。
何しろ、枌谷さんのスライドは200枚を超えるボリューム。
枌谷さん(株式会社ベイジ)が実践されている、UXとマーケティングを合わせた上流工程のやり方を、ひとつひとつ、かなり細かく事例もはさみながら説明してくれる、というセミナーでした。
UXとは? なぜいま求められているのか?
UX(user experence=ユーザー体験)の解釈については、枌谷さんのこちらのnoteがわかりやすいです。
https://note.mu/sogitani/n/nc5597b475590
「UX」という言葉だけが先行してしまって本来の意味と異なっているケースも見受けられるので、正しい背景の理解が必要とのことでした。
また、UXとUI(ユーザーインターフェース)とがごっちゃになってしまっているケースも結構あるそうです。
たしかに。
いまなぜUXが求められているかというと、大きく3つ理由があります。
- 市場環境の変化
モノ(機能)消費から、コト(体験)消費へと、市場で動くお金が変わってきているから。
つまり、ちゃんとしたユーザー体験を設計しないと、物が売れない時代。 - 技術環境の変化
それまでの、状況が限定されるPC(室内、デスクに座って)から、環境に依存しないスマホに情報接触機会が変わった。
どんなシチュエーション・時間・タイミングで情報に触れるかを考えることが必要。 - 失敗からの教訓
UXの考え方が、これまでの失敗の解決策になるんじゃないかと思われている。
一方、UXという言葉が都合よく使われることも多いので、きちんと概念を理解することが重要。
UX(ユーザー体験)はサイトの改善や使い勝手の改善ではなく、ユーザーの体験そのものを考えて変えること。
考える範囲は非常に幅広く、商品・サービスの認知前からサービス利用後までに至ります。
ベイジの考える、マーケティングとUX
マーケティングとUXは別物としてとらえられがちだけど、非常にかぶっている部分が多い。
マーケティングとは、「売れる仕組みづくり」のこと。
UXも、ターゲットユーザーを理解することで、どうすれば売れるかを考えることなので、近しいものとのことでした。
(もちろん全部ではなく、重ならない部分もあります)
つまり、UXはマーケティングの手段の一つと考えるべきで、階層で考えると「マーケティング > UX」という感じ。
ベイジの実践しているUX視点からの戦略の立て方
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ここから、実際にベイジ枌谷さんが実践している、調査、ヒアリングからブランディングまでの戦略立案のための工程について、詳細な説明が始まりました。
これまでの経験から導き出した、マーケティングとしてやらねばならないことを、タスク化し、基本的にはすべて実施しているそうです。
項目だけ抜き出すと
- 調査分析
- ビジネスの整理
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- ペルソナ
- UXストーリー
- カスタマージャーニー
- サイト内行動フロー
- セールスストーリー
- アイデア化
- 目標設定
- ブランディング
……と並びます。
これらを一つ一つ、どんなことをやっているか、具体的なツール事例とともに説明をしてくれます。全項目。
ここでは書ききれないボリュームです。
共通して言えることかな、と思ったのは、すべてちゃんと言語化、あるいは図式化すること。
「なんとなくの共通認識」ではなく、わかりやすい言葉や図にして、プロジェクトメンバー、クライアントなどの誰が見ても、時間をおいてあとから見ても、理解できるようにすることが大事なのだと思いました。
また、各工程ごとに気づいた点やアイデアが出たら、それを忘れないように都度メモして、あとから(コンテンツの検討時などに)それを活用することも大事とのことでした。
あとからアイデアだけ出そうとしても、忘れてしまいますからね。
調査から始まり、一つ一つの工程をきちんと言語化して重ねることで、説得力のある戦略、そして設計ができていくのだ、と膨大な資料を前にため息が出ました。
このセミナーは、枌谷さんからの挑戦状だ
上流工程の他にも、サイト制作フェーズ、そしてベイジの営業方針についてなど、惜しみなく話していただきました。
そしてリスナー側の細かい質問にも丁寧に答えてくれていました。
淡々としているようで、でも熱く、そしてわかりやすく。
最後まで変わらず熱量を保ったまま、話し続ける枌谷さん。
4時間半という長丁場を、たったひとりで話し続けるそのパワー、本当にすごいと思いました。
実は長時間のセミナーなので、途中でワークショップ的なものがあるのでは、と思っていたのです。
でもなかった。
70名ほどの聴衆が、枌谷さんの話にじっと耳を傾ける。なんだかすごい時間でした。
どれも聞き逃せない話ばかりで、あっという間の4時間半でした。
セミナーが終わってから思ったのは、これは枌谷さんからの挑戦状なのではないかなと。
「おまえら、ここまで詳しく手法を教えてるんだから、やれるものならやってみろ」と。
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(※もちろんこんな言葉で枌谷さんは話しませんし、こんなことは言ってません! 私の勝手な妄想です)
手法を教えてもらったからと言って、一朝一夕にはできないことばかりです。
絶対的にまわりが追いつけない自信があるからこその、この詳細なセミナーなのではなかろうか。
そして話を聞いても、実際に手を動かしてみる人はおそらくごく一部でしょう。
枌谷さんはTwitterでこんなことをおっしゃっていました。
私が属する一般人中心の仕事の世界は、プロスポーツやエンタメの世界ほど厳しくないので、優秀さの序列はほぼ費やした時間に比例する。多くの人は仕事以外にほとんど勉強をしてないので、受験勉強や部活動の半分以下の努力でも上位10%に入れる。
— Sogitani Tsutomu (@sogitani_baigie) 2018年4月11日
枌谷さんはもともとも非常に頭のいい方だろうと思っていますが、同時におそらくたくさんの努力を重ねてこられた人なんだろうとも思います。
つまり、今回の話を聞いて学んだことをさらに実践して磨き上げる努力が、マジ大事です。
最近みかけたこちらのツイートも参考に。
今回はようやく(かろうじて)「知る」を超えただけですね。
友人のFBページにアップされていたのだが、「知る」と「わかる」、「できる」と「している」の違いが良くわかる図。 pic.twitter.com/9CpEd6GSWf
— inui.R (@inuicpa) 2018年4月10日
私は、結構ずっと枌谷さんのブログやtwitterを追いかけていたので、今回のセミナーで直接話を聞けたことは、本当に有益な時間でした。
今まで以上にもっと「やばい、この人本当にすごいひとだ!」という認識が高まりました。まじで。
枌谷さん、そしてセミナー主催していただいたウェブ解析士九州支部、および株式会社リクトの皆様、本当にありがとうございました。
5月に東京で、6月に高松で同じ内容のセミナーが開催されるそうです。
気になる方はお早めに!
(高松はすでにキャンセル待ちでした)