映画メモ「ラストマイル」(ネタバレあり)

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こんにちは、つたちこです。
ようやく「ラストマイル」を見てきました。ネタバレありますのメモです。

写真:ラストマイル
やっと見てきましたよ

アンナチュラルやMIU404と同じ世界線で、それぞれのメインメンバーばんばん出るよ! みたいな事前広告をたくさん見ましたが、あれはちょっとやりすぎ。いや、客よせとして重要なんだと思うけども。
個人的には、映画のストーリー的にはむしろノイズになってしまうようにも感じました。(特に警察(MIU)側はもっと匿名性が高くていいのにと思った…きゅるーんはやりすぎ感)

で、本筋ですが、とても面白かったです。楽しいのほうではなく、興味深い方の、面白い。それこそノンストップで引き込まれました。
野木さんファンなので、たぶん社会派の面が出てくるだろうなと思ってましたが、想像以上だった。(だからこそノイズがもったいない気持ち)

諸々の仕掛け、犯人発見までのミステリーとしても上質でしたが、それ以上に現在の便利な生活の裏側だったり労働環境だったりの問題点の訴求が強かった。

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働く人は、末端も管理職も、効率的で成果あることを求められ続ける。日本人だけじゃなく、アメリカ側の管理職もそう。
それぞれで視点が違うけど、その重責はみんな半端ないのでしょう。きつい。

誰のために、というと何度も映画の中で「顧客中心主義」が出てきますが、通販の顧客も働く人がほとんどなわけで、回り回って自分も「顧客」のために働く人なのだった。

会社はなんのために利益を上げるのか、その利益を得るのはだれになるのかと考えると、経営者か株主になるのかな。
利益を挙げられない人は捨てられるし、そのプレッシャーに負けた人は落ちていく。落ちてく人多すぎだけども!

最後に、配送側がストライキをおこし、配送料金の1個あたりの費用が「20円」上げられることで、ほんの少しだけ末端の人へ利益が配分されます。でも1日100個配ってもわずか2000円アップです。それで会社は160億円(たしか)の利益減ですって。

タイトルの「ラストマイル」は、配送の最後の1マイルのことをいうそうです。
映画では、配送業者の人が「この荷物を配ったのはあの小さい子のいる家」とまで覚えてて(配送のプロ、すごい!)無事に爆発物をドラム洗濯機に突っ込んで助かります。
(このドラム洗濯機が「元勤めてた廃業メーカー」のもので頑丈なんだな。日本のかつてのものづくりの良さ(失われてしまったけど)に助けられるっていう。)

事件を起こしたのは、こちらも組織の末端を担う派遣社員。
最後に助けるのも末端の配送の人、という、ダブルミーニングなのかなあ、と。

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その犯人も、事件が始まると同時に……だったわけで、なんともいえない苦い気持ちが残ります。どんな気持ちで、自ら火を付けたのか。世界が変わるかどうかの結末を見ることもなく。
そのメッセージ性こそが、野木脚本の真骨頂な気もする。

私も、通販で手軽に物が手に入る、便利な世の中を享受している一人です。その便利の裏に存在していることが(ドラマとしてですが)垣間見える映画でした。
むしろこれがドラマ的に誇張された話であってほしい。本当はもっとエグい世界なのかもしれません。

見終わった後、直後もだけど、そのあともぐるぐるじわじわと考えてしまう、そんな映画でした。

【完全なる余談】

満島ひかり演じるエレナ、勝負服は赤(朱赤のような)なんだな、と。かっこよかった! 真っ赤なコートいいなあ!

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この記事を書いた人

つたちこ

フリーランスのwebディレクター。基本方針は、健康的においしい食べ物とお酒を楽しむこと。できるだけご機嫌で生きていきたい。
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