こんにちは、つたちこです。
最近ひさびさにミステリ小説を読みたい欲が増してきてます。
いろんな作品が映像化されていて、有名な作家「湊かなえ」さん。
一度も読んだことなかったのですが、先日本屋をぶらぶらしていた時に「文庫売り上げナンバー1」「山本周五郎賞受賞」といったPOPがあり、この「ユートピア」が山積みになってました。
ちらっと裏表紙のあらすじを読み、ミステリなら一度読んでみるか……と衝動買いしてきました。
#夏休みは文庫本フェアのシーズンでしたね。すっかり忘れてた。
テーマは「善意は、悪意より恐ろしい。」だそうです。
あらすじはこちら。(本の内容紹介より)
足の不自由な小学生・久美香の存在をきっかけに、母親たちがボランティア基金「クララの翼」を設立。
しかし些細な価値観のズレから連帯が軋みはじめ、やがて不穏な事件が姿を表わす――。
湊かなえが放つ、心理サスペンスの決定版。地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・菜々子と、夫の転勤がきっかけで社宅住まいをしている妻・光稀、移住してきた陶芸家・すみれ。
美しい海辺の町で、立場の違う3人の女性たちが出会う。
「誰かのために役に立ちたい」という思いを抱え、それぞれの理想郷を探すが――。
以下、ネタバレ的な話が出るかもです。一応、すみません。
今の私の立場でちょっと耳が痛い「すみれ」
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主人公の一人に、「すみれ」という、陶芸家が出てきます。
大学時代に陶芸を学び、普通の社会人になり、でも陶芸が諦めきれず、同じく芸術活動をしている元カレに誘われて「鼻崎町」に移り住み、田舎暮らしと陶芸活動を始めるのですが。
この「鼻崎町」のよさを、地元の人間は全然わかってない!
鼻崎町の本当の良さがわかっているのは私たち(よそからの移住者)だ!
私が鼻崎町を変える!
……みたいなのが「すみれ」の根底にありまして。
あー、移住者あるあるな気がしてなりません。
私自身がそう喧伝しているつもりはないですが、ヨソモノが「糸島いいよね!」って言っているのって、地元の人から見たらこう見えるのかなー、という気がしました。
正直、「心理ミステリ」にはちょっと物足りない
主人公の女性3人の構成はこんなです。
- 地元で生まれ育ち、地元で結婚した女性
- 嫌々住んでる、夫の転勤に伴い移り住んだ女性
- 好んでやってきた移住者の、芸術家肌の女性
この3人が、とあるきっかけで親しくなるのですが、この構成はうまいな、と思いました。
立場の違いが明確で、それぞれの視点で話されることは、同じ場所の話をしていても、全然印象がちがいます。
同じものでも、全然違うように見えるのだ、というのがよくわかります。
三者三様の「自分を中心とした考え」が、章ごとに変わる主人公視点で代わるがわる語られます。
心の声、というか、本音が語られるのですが、「どろどろした内面が赤裸々に」というほどでもないかと。
これくらい、多少の違いはありつつも、みんな考えるよね……という印象です。
3人とも、結局自分(と、自分の分身の子供)のことしか考えてないのですが、まあ、それはそうなるかも……。
嫉妬や妬み、愛情、諦念、陰口、などなど、女の人のドロドロしたところのいろんなパターンを見ている感じ。驚くほどの悪意ではないかなと。
あれ、私がどろどろしてるってことか?
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話は当初、雑誌の掲載記事と、そのバックグラウンド(本編)という感じで進みます。
正直、最初のうちは理解しにくくて話に入り込めず、何度も前のページを見直して確認したりしてました。
中盤からどんどんページをめくれるようになりました。
徐々にいろんなことが明らかになり、不穏な感じになってきた後半でしたが、最後のほうはなんだか駆け足で終わってしまい、あれ? って感じでした。
なんだかちょっと乱暴な感じに終わらせてしまった感があります。
- 芝田のあつかい
- 芝田と健吾の関係
- 義母が逃げる必要性がわからない(かけおちがしたいのではなく、家がいやだったのか?)
- 健吾はどうなった
- 彩也子は傷の前から同級生に嫌われてた?(だから下級生の久美香にかまってた?)
- 最後、彩也子の手紙で全部ネタバレ、っていうのもしっくりこない(そして回収されきれない伏線がある)
とかが自分的にはすっきりしませんでした……。
ほかの作品読んでないけど、こういう感じなのでしょうか。
一応(?)殺人事件は絡んでいますが、「ミステリ」というのとはちょっと違うような。
とはいえ、有名な作家で人気もあるのだから、ほかの作品はもっと面白いのかもしれない。
「告白」とか読んでみようかなー。